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基調講演「真の父母と成約時代」
韓 鶴 子(世界平和女性連合総裁)

罪悪世界を救うため宗教は犠牲に

  尊敬する御来賓、そして紳士淑女の皆様。
  このたび招待講演に、このように多数の方々がお越しくださいまして、心から感謝
申し上げます。
  皆様が平和世界を建設するために献身される姿に接し、心から感動を覚えます。
  皆様もご存じのように、今日私たちが住んでいる世界は、平和で幸福な世界ではな
く、葛藤と絶望に満ちています。
  私たちは家庭崩壊と道徳的退廃の問題に直面しています。したがって、私たちがも
し明るい未来を願うなら、何よりもまず神が人類を創造した根本目的を理解しなけれ
ばなりません。
  人間は誰でも自分の愛する者が、自分よりももっと立派になることを願います。
 例えば、すべての親は、子供たちが自分以上に立派になることを願います。このよ
うな心は神から来たのです。神も御自身が創造した子女である人間が、自分以上にも
っと立派になることを願っています。
  さらに、神は子女たちに限りなく与えようとされます。神は100パーセント与えたか
らといって、決して満足されません。御自身が持っているものを千倍あげても、それ
以上与えようとされます。
  神の愛は(すべてを)与え尽くしても、与えたという記憶すら忘れてしまう愛です
。そして、永遠に与えたとは判断されない方です。
 よく知ってみますと、神が被造世界を創造した目的は、愛の相対を得るためでした
。
 神が存在するものを皆ペアシステムでつくられた目的は、真の愛のためでした。
 したがって父母は子女のために生き、子女は父母のために生きるようになっていま
す。また夫は妻のために、そして妻は夫のために生きなければなりません。すべての
被造万物は、為に生きるように創造されたので、与えながら生きるようになっていま
す。
 もしも、アダム家庭で、神の真の愛の理想が成就されていたならば、その家庭は、
天国の出発点になっていたはずです。そして、このような天国家庭が歴史的な発展を
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く、霊界までも天国理想が展開したでしょう。
 もし神の根本理想が完成していたならば、メシヤはもちろん、神の救援摂理も必要
なかったはずです。
 一家庭であっても、アダム家庭は正に真の愛を中心として為に生きる家庭として、
氏族、国家、世界の中心となったはずです。アダム家庭は、そのまま未来に誕生する
すべての家庭の青写真となり、神の理想世界を実現する手本になったはずでした。
 人類始祖の堕落のゆえに、神の救援摂理が始まりました。救援摂理の歴史は旧約時
代、新約時代そして今日、成約時代に至るまで複雑多岐で苦難にみちた路程を経なが
ら、延長に延長を重ねてきました。
 神がアダム家庭を中心としてつくろうとされた真の家庭の理想と天国は、アダムと
エバが神から離れることによって成就できませんでした。
 堕落のゆえに、今日の世界は神が理想とされた善の世界とはあまりにもかけ離れた
世界になってしまいました。事実、今日の世界は偽りと利己的な愛に満ちています。
 それは、アダムとエバがサタンを中心として、利己的で偽りの愛を土台として、偽
りの父母となったからです。彼らは善の代わりに悪を繁殖し、偽りの家庭をつくり、
子孫に偽りの生命と血統を伝授しました。そして偽りの氏族、国家、世界が現れるよ
うになりました。
 したがって、神の救援摂理の最も重要な目的は、真の愛を中心として、復帰された
アダムとエバを代表する真の父母を見いだすことです。そして彼らを中心として、真
の家庭をつくることです。そうすれば、その家庭を出発点として真なる氏族、国家、
世界が展開されていきます。言い換えれば、神の真の愛、真の生命、真の血統を育く
む種が創造されなければなりません。

 御来賓の皆様。
 腐敗と罪悪に満ちた世界が、善と愛の根源であられる神からどうして始まったのか
と、疑ったことはなかったでしょうか。聖書を注意深く読んでみると、人間の堕落が
アダム家庭全体を失う結果になったことを知ることができます。第一に、アダムとエ
バが堕落によって父母の位置を失い、第二に、カインがアベルを殺害することによっ
て、子女の位置を失ってしまいました。
 理想家庭と完成した世界を計画されていた神の青写真まで、失う結果になりました
。したがって、神は根本家庭を復帰するために、カインとアベルの位置を復帰し、そ
して真の父母の位置を取り戻すために、反対経路の摂理を進めなければなりませんで
した。
 カインとアベルを和解させ、一つにさせるパターンは、そのまま真の父母を復帰す
る基台として復帰摂理歴史の公式になってきています。
 ユダヤ教、キリスト教の歴史を調べてみると、堕落人間はカイン、アベルのように
敵対と分立歴史を繰り返してきました。したがって神は堕落人間を、サタンを象徴す
るカイン側と、神を象徴するアベル側の二人の兄弟関係に分立させ、堕落によって生
じた憎悪を取り除いてこられました。
 神はアベルが先に打たれて犠牲になる作戦をとってきました。その結果、アベルは
自分を犠牲にし、カインを抱擁して長子に与えれられた祝福を取り戻したのです。
 例をあげれば、救いの目的の最先端を行く宗教は、いつもサタンから激しい迫害を
受けてきました。そのような宗教の行く道は、常に反対されながらも、罪悪世界を救
うために、絶えず犠牲になってきました。それゆえ善なる人々は、いつも先に打たれ
犠牲の道を行きます。

神の復帰歴史は個人から始まる

 今日、堕落した世界を見ると、例外なくカインとアベルの善悪の葛藤と闘争を見る
ことができます。このような葛藤と苦痛は、個人の心と体の衝突から始まります。心
はアベル側に立ち、カイン側に立っている体を征服しようと身悶えします。
 このような個人の苦痛は家庭、国家、世界にまで拡大しています。その結果、人間
は常にアベル側、即ち善なる側と、カイン側、即ち悪なる側との二つの側に分かれて
、あらゆる次元で戦っています。しかし神のみ意は、いつも双方が争い、一方が勝利
し、他方が征服されるよりは、共に復帰されることを願っています。
 その実例を挙げれば、アベル格であるイエス様の十字架上における右側の強盗と、
カインの格である左側の強盗がいます。世界的には、自由世界と共産世界を代表して
、最後の闘争を展開している韓国と北朝鮮の対決と、さらには中東でのキリスト教と
イスラム教の対決を挙げることができます。したがって、神の復帰摂理にとって最も
中心的な問題は、どのようにすれば分かれた双方を神の理想を中心として、一つにし
て、真の父と真の母を迎える基台をつくるかということです。
 紳士、淑女の皆様。
 家庭が神の愛の理想を中心としていないので、家族の間に衝突が生じます。神の愛
を絶対的な中心としなければ、結局その家庭は崩壊してしまいます。さらには、その
ような家庭が集ってつくる国も衰亡の道をたどります。
 最初の家庭が不倫をなし、利己的な愛の奴隷になったので、利己心と欲望は個人、
家庭、社会、国家、世界的次元へと展開して、人類歴史を汚してきました。
 それゆえに、神の復帰歴史は個人から始まります。ところが、サタンもそれを知っ
ているので、人間に対して個人の次元から集中攻撃を行ってきました。終末を迎えた
今日、利己的な個人主義が一般的な生き方となったのは、決して偶然ではありません
。
 人々は日がたつにつれて、周囲から次第に疎外感を感じ、各自が属している国家、
社会、そればかりか自分の家庭にまでも無責任になりつつあります。
 離婚率が日々上昇している事実は、夫婦が互いに結婚に対して無責任であるとう証
拠です。父母は子女に責任を持とうとしないし、個人の威信を放棄しつつあり、自分
に対する責任すらも持とうとしません。
 アメリカでは、このような現象が1960年代、青年の運動とともに台頭し始めました
。理想を求める若者たちは、愛と平和の美名のもと物質主義を排斥して出発しました
。しかし、その過程で彼らは物質主義を排斥したばかりではなく、人間の道徳性と責
任感までも捨ててしまいました。
 彼らは求めてきた愛と平和を獲得できなくなると、多くの若者たちは自殺、麻薬中
毒、フリーセックスへと陥ってしまいました。
 これらの現象の中でも、神が最も心を痛められているのはフリーセックスです。
 愛はもともと純粋な情緒的刺激から誘発されるはずなのに、フリーセックスは、純
潔や情緒とは全く関係がないのです。正反対に、神のみ旨のために働いている人々は
、全くそれとは180度異なった生き方をしています。
 歴史をみると、自己犠牲を甘受しながら、霊的な価値を追求してきた人々は、周囲
から言い表すことのできないほど反対と迫害を受けてきました。神の愛と祝福が共に
なかったならば、統一教会も世界的な反対の中で、今日のように発展することはでき
なかったに違いありません。私たちの教会がわずか38年間で、戦争で灰と化した韓
国の地で、無名の教会として出発し、今日世界的な宗教として登場し得た事実、それ
一つだけ見ても、神の限りない導きと加護を感じることができます。

 紳士淑女の皆様。
 聖書には、エバが先に神の戒めを破り、サタンと関係を結んだとあります。
 堕落によって、エバはもちろんのこと、アダムとその息子たちであるカインとアベ
ルまでも、利己心と偽りの愛を中心にしてサタンの血統を受けるようになりました。
このように、サタンによって本来の軌道を離脱した、最初の始祖アダムとエバの末裔
となった私たち人間は、誰でもサタンの血統を受け継いで生まれています。ヨハネに
よる福音書8章44節に、「あなたがたは、自分の父、すなわち悪魔から出てきた者で
あって」と、イエス様がとがめられたのも正にこのような理由からです。
 旧約聖書では「目には目を、歯には歯を」という公式に沿って、救援摂理の役事を
展開してきたと説明しています。
 『原理講論』では、過ちを償うことを“蕩減条件を立てる”といいます。
 堕落したエバが自分の失敗を償うには、すべての責任を、一人で負わなければなり
ませんでした。エバは、堕落行為に対し、反対の経路を通じて原状に戻し、各段階を
霊肉両面から復帰しなければなりませんでした。天のみ意は、エバが次子であるアベ
ルを、み旨に従うように協助することでした。
 創世記によると、神はアベルの献祭は受け取りましたが、カインの献祭は受け取り
ませんでした。しかし、これはアベルが期待してそう成ったのではありません。カイ
ンはアベルを神が選んだ者として認め、彼と一体となるべきでした。
 もしも、カインとアベルが一つになったならば、子女の立場を失うという堕落によ
って生じた二番目の問題は、その時すでに解決されていたに違いありません。そうな
れば、神はアダムとエバの問題だけを解決すればよかったのです。エバは元来、人類
最初の母となるべきでした。エバは、カインとアベルを一つにし、真の父母のための
基台をつくらなければなりませんでした。しかしエバは、生存中にその使命を果たせ
ませんでした。それで歴史は、誰か他の女性が現れて、堕落したエバの代わりに蕩減
してくれるのを待つようになりました。

3女性の信仰からイエス様誕生

 聖書では、イサクの妻リベカを、神のみ業を成した最も偉大な女性の一人として描
いています。
 エソウとヤコブの母として、リベカはイサク家庭で、アダム家庭のエバとちょうど
同じ立場でした。リベカはエバと違って、神の摂理を理解しました。それでアベルの
立場にいた次子ヤコブを助け、長子エソウが受けるようになっていた祝福を、ヤコブ
が受けるようにしました。
 エソウは自分の受けるべき祝福が弟ヤコブに与えられたことを知って、カインがア
ベルを殺害したように、ヤコブを殺そうとしました。しかし、母リベカの助けによっ
て、二人の兄弟は血を流す代わりに、最終的には温かい兄弟愛で和解しました。
 この劇的な和解こそ、神から見た時、重大な勝利となりました。しかし、それはま
だ完全な勝利とはならず、血統転換の立場から見てあくまでも象徴的なものでした。
実体的な血統転換は、母親の胎中で完成しなければなりませんでした。
 ここにタマルを中心とした、逆接的出来事の理由があります。リベカのようにタマ
ルも、堕落したエバの立場にいました。この点を理解すれば、イエス様が、なぜタマ
ルの血統を受け継いだユダの支派から生まれるようになったかの理由が、よく分かり
ます。
 皆様も、タマルの双子の息子にかかわる話を聖書で読んだでしょうが、彼女は、舅
であるユダと関係して、双子の息子ペレツとゼラを身ごもりました。聖書には、この
双子は母の胎中で、長子権をめぐる闘いをしたと記録されています。
 タマルの出産過程をみると、ゼラの手が先に出たので、助産婦がその手首に赤い紐
を結ぶと、また母親の胎内に引っ込んでしまいました。次子となるはずのペレツが先
に生まれ、長子となりました。
 このようにして、カインとアベルの位置が出生前に転換されるという摂理が、成就
しました。正にこの条件のために、イスラエルがメシヤを迎えることの出来る選民国
家となったのです。
 伝統的な道徳観から見えれば、リベカとタマルにかかわる話に疑問を抱かざるを得
ません。
 神様はなぜ、そのような女性を祝福されたかは、今日に至るまで神学界の謎となっ
ています。先に述べたように、イエス様をこの地上に送るためには、失われた血統を
サタンから取り戻す準備作業が必要でした。このようにして取り戻した真の愛の血統
的基盤の上で、イスラエルの国が拡大していったのです。
 イスラエルは、勝利を意味する言葉です。二人の女性の勝利はまた、血統転換の勝
利を意味しています。
 それ以来、ユダの血統は子々孫々発展を繰り返しながら、氏族、社会、国家基準へ
と拡大していきました。この血統を通じて2000年後、イスラエルにマリヤが生まれま
した。
 マリアの責任は、長子権を復帰するためにカインとアベルを一つにし、家庭、氏族
、国家基準まで、み旨にかなった蕩減条件を立てることでした。
 マリアは、神のお告げを受けてイエス様を身ごもりましたが、周囲の目から見れば
、自分の父母や、婚約者ヨセフを裏切った形でした。
 その当時、どんな女性でも、夫以外の男性の子供をみごもったならば、石打ちにさ
れるのが慣例でした。しかし、アダムの立場にいたヨセフが勇敢に進み出て、婚約者
のマリアを見捨てず、保護してあげました。
 マリアの信仰と、リベカとタマルの貢献によって、マリアの胎内に宿っていたイエ
ス様に対し、サタンは所有権を主張することができませんでした。イエス様は、神の
完全なる直系の血統のもとで生まれました。
 堕落した血統を転換した後に、神のひとり子として生まれたイエス様は、聖人中の
聖人であり、真の血統の祖先となるのです。
 マリアは復帰されたエバの立場で、アベルの位置にいたイエス様と、年上の従兄で
ある洗礼ヨハネを一つにしなければなりませんでした。イスラエル国民とユダヤ教が
、カインとアベルの立場で、イエス様をメシヤとして受け入れるために、この二人が
一つになることは絶対的に必要な条件でした。洗礼ヨハネは兄さんでした。数多くの
人々が彼に従い、広く尊敬されていました。
 イエス様が弟子たちに言われたように、洗礼ヨハネの使命は、来るべき主の道を直
くするために、エリヤが先に来ると言われた旧約聖書の預言を成し遂げることでした
。
 果たして洗礼ヨハネは、摂理の観点から見て責任をなしたでしょうか。ルカによる
福音書には、洗礼ヨハネは、エリヤの権威と使命をもって来ると記されています。し
かし洗礼ヨハネは、自分がエリヤであることを否認し、ヨルダン川でイエス様に洗礼
を授けた時、天が開けて受けた確かな啓示にもかかわらず、イエス様がメシヤである
ことを疑いました。
 また、その当時の人々の目には、洗礼ヨハネは宗教指導者として非常に尊敬を受け
た人物でした。一方、イエス様は、貧しい大工の仕事をする私生児として映りました
。したがって、洗礼ヨハネの助けなしには、当時のユダヤ人たちがイエス様を信じて
従うことは不可能でした。それで、イエス様は自ら、自分でメシヤを宣布しなければ
ならない困難な道を出発しました。
 洗礼ヨハネは、イエス様がイスラエルの宗教指導者として、登場できるように助け
なけらばなりませんでした。
 洗礼ヨハネがその使命を完遂していたならば、アベルの立場にあるユダヤ教と、カ
インの立場にあるイスラエルの国が、イエス様を中心にして一つになるはずでした。
そうなってさえいたならば、その時小羊の婚姻がなされ、イエス様は人類の真の父と
なり、新婦は人類の真の母となっていたでしょう。

霊肉両面の救い成就のため再臨

 イエス様の福音は、彼が40歳になる前の7年以内に世界的に急速に伝播され、アジ
アとローマまでも従わせていたでしょう。最終的にイエス様は、新婦と共に個人天国
、家庭天国、氏族天国、国家天国をつくっていたはずでした。
 しかし、この夢は、実現を見ずに終わりました。いわゆる宗教家と自称する人たち
が、イエス様のみ言を拒み、ついには十字架に追い込んでしまったからです。イスラ
エルの不信仰に直面したイエス様は、人類の霊的救援のために命を捨てる決意をされ
ました。
 したがって、霊的・肉的両面の救いを成就するために、イエス様は再び来なければ
なりません。このような理由で、人間の心はイエス様を通じて神に近づくことはでき
ますが、体はいまだに悪の誘惑圏に属しています。
 聖パウロですら肉身と良心の欲望とが葛藤し、矛盾の中で苦悩しました。多くのキ
リスト教の偉大な福音伝道師たちも、このような矛盾に苦しみました。
 成約時代を開始するために何よりも重要なことは、私たちは皆、霊肉共の救いを受
けなければならないという点です。
 イエス様が十字架上で亡くなられることによって、右翼と左翼の闘争が始まりまし
た。これは、アダム家庭の堕落によってカインとアベルが分立したのと同じです。ま
たキリスト教とイスラム教が出現し、戦いを開始しました。このような分立闘争は、
イエス様が十字架上で亡くなることによって生じたので、イエス様が再臨する時には
、すべては一つに統一されなければなりません。
 神がイエス様の再臨を準備するためには、世界的次元でのカインとアベルの勝利的
和解が必要でした。
 第2次世界大戦の時に起きた一連の出来事を中心として、このような摂理が展開さ
れました。キリスト教圏を代表したイギリス、アメリカ、フランスの連合国群は、ア
ベルの立場に立っていました。一方、枢軸国家である日本、ドイツ、イタリアは、国
粋的軍国主義の影響を受け、カインの立場に立っていました。
 この戦争は、世界的次元にまで拡大された、カインとアベルの対決を意味していま
した。連合国が勝利した後、キリスト教を中心として、世界平和を実現するための大
々的な努力がなされました。
 イギリスは世界的なエバ国の位置に、そしてフランスとアメリカは、それぞれがカ
インとアベルの位置に立って、共に再臨主を迎える準備を完了していました。しかし
、そのような準備にもかかわらず、神の摂理はその時、成し遂げられませんでした。
 神の代身として、み言をもって来られた一人の方がおられますが、その歩みは数多
くの形容しがたい迫害を受け、世界からも理解されませんでした。2000年前の、イエ
ス様の立場と全く同じでした。
 イエス様の時代、イスラエル民族が、火の車に乗って天から再臨するエリヤを待っ
ていたように、キリスト教徒たちも、再臨主の顕現を雲に乗って天から降臨するもの
と信じて待っていたのです。
 黙示録には、イエス様が弟子のヨハネに「主は新しい名でもって来られるだろう」
と言われた箇所があります。
 これはエリヤがそうであったように、イエス様も再臨の時には別の人の姿で来られ
ることを意味しています。
 神は私の夫を選ばれて、韓国のキリスト教徒たちに新しい真理のみ言を伝えるよう
にされました。しかし当時、キリスト教界の指導者たちは、一介のみすぼらしい若者
にすぎない夫が、新しい真理のために選ばれた可能性すら無視してしましました。
 新約時代は旧約時代の延長なので、当時のユダヤ人たちがイエス様の顕現を信じな
かったように、韓国のキリスト教指導者たちも、再臨主が人間として、肉身をもって
地上に誕生することを信じられませんでした。
 もしもその時、キリスト教界と夫が一つになっていたなら、地上世界はもちろん、
天上世界にまでも天国がつくられたはずでした。新約時代が終わる1945年から1952年
までの7年間に、全世界が神の摂理に従って一つに統一されていたはずです。
 しかしその当時、宗教指導者たちは夫と一つになるどころか、夫に従う信者たちの
数が日増しに増える理由を知ろうともせず、盲目的に嫉妬し、反対しました。それば
かりでなく、夫についての邪悪な嘘まで捏造して広めました。夫を人格的に葬るため
に、夫の教えとは正反対に、淫乱だ、貪欲だと噂のくびきを夫にかけてしまいました
。
 神はキリスト教を発展させ、再臨主の道を直くするために、アメリカのようなキリ
スト教絶対圏の国家を育成されました。彼らが悟ろうと悟るまいと、その当時、韓国
の牧師たちは全世界のキリスト教を代表する立場にいました。
 第2次世界大戦後、アメリカと世界のキリスト教界は、夫と一体化できなかったた
めに、アメリカはその時から没落の道をたどり、道徳的権威もすたれ始めました。
 第2次大戦後のアメリカとキリスト教界は、カインとアベルが一つとなった勝利的
な基台の上に立っていました。再臨主を迎える時は、熟していました。しかし、結果
は再臨主を迎えることに失敗し、付和雷同して全世界が夫の活動に反対するようにな
りました。したがって、夫は荒野に追われ、どん底まで追い落とされた後に、再び這
い上がってきました。
 このようにして韓国動乱による冷戦が始まりました。第2次大戦の時と同様に、世
界は再びカイン圏とアベル圏に分かれました。十字架上でイエス様を不信した左側の
強盗と同じく、神を否定する共産主義がカイン型の世界を代表して立ちました。一方
、神の実在を信じるキリスト教民主主義は、イエス様の右側の強盗と同じく、アベル
型の世界を代表するようになりました。
 韓国に来られる再臨主は、神のみ旨に従って、この敵対関係にある世界を一つにし
なければなりません。その中心地が南北に分かれた韓半島です。そこでは蕩減原則に
よって、二人の父が対決しています。北側のカイン的父(金日成主席)と、南側のア
ベル的父(文鮮明先生)とが一つとなって、平和の基地を築かなければなりません。
 この二人の父の統一は、共産と民主の統一ばかりか、全世界の統一につながってい
ます。それで国連軍の16カ国の投入も人類の祖国統一のためになされました。

40年間で聖書歴史6000年を蕩減

  第2次世界大戦の時には、キリスト教中心としたイギリスとアメリカとフランスが
中心でありましたが、その失敗を復帰するために、このたびは統一教会の統一思想に
よって、民主主義世界を代表して再び選抜されたエバ国日本と、アベル国アメリカと
カイン国ドイツと自由世界が一体となって、世界的アダム国である韓半島の南北統一
をなさなければなりません。
  人間始祖の堕落を償うために、母であるエバは、兄弟のカイン、アベルを再び生み
直さなければなりません。それで日本国内には戦後50年間、韓国居留民団と朝鮮総連
とを抱えております。
  それゆえ、エバ国家日本は、まずこれらを一つにし、次にアダム国家まで一つにし
、さらにはアジア文明圏と西洋文明圏を抱擁して世界平和に向かう、太平洋文明圏を
建設しなければなりません。
  私たちはまた、ユダヤ教とキリスト教を代表した立場で、イスラム教徒たちとの和
解を促進してきました。
  この冷戦の間、夫は失ったメシヤを迎えるための基盤を取り戻すために、個人、家
庭、氏族、国家、世界、そして天宙的な次元まで、壁を取り除くための闘いをしまし
た。このために、夫には最小限40年の期間が必要でした。この40年の間に夫は、イエ
ス様の誕生の時までの4000年と、創世以来の聖書歴史6000年を蕩減復帰したのです。
  このような蕩減をなした後に、カイン型国家群とアベル型国家群の和解を見るよう
になり、ついに冷戦の終結をもたらしました。
  この課題は、全世界160ヶ国が参加した1988年ソウル・オリンピックのときに、統一
教会によって完了しました。このことが、北朝鮮、韓国が160、161番目に国連に加入
する条件となりました。
  過去数十年のことを考えれば、夫は言うに言えない無理解の中で生きてきました。
北朝鮮では共産政権の下で、3年間強制収容所に囚われ、その後も神の仕事を続ける
中、無実の罪で6回も獄中生活をしたのです。
  そればかりでなく、言論界は夫が「自分個人の利益のために、若者たちを洗脳する
悪魔のような者だ」とあざけり、悪評判を広めてきました。
  皆様の中に「文鮮明先生こそ、全世界的に、最も多くの迫害を受けた宗教指導者で
ある」と言えば、これに異議を申し立てる人がいるでしょうか。
  旧約時代と新約時代を併せて、歴史上のすべての失敗を取り戻すために、夫と私は
蕩減の道を歩んできました。
  キリスト教文化を根としているアメリカを新約時代にたとえるならば、韓国は旧約
時代にたとえられます。
  最初の20年間、夫は韓国で、イスラエルのような立場に立つ韓国と、ユダヤ教のよ
うな立場にある統一教会を中心として、旧約時代の蕩減路程を歩みました。
  この基台の上で私たちは1960年、国家的次元で真の父母の聖婚式を挙げました。そ
の後、1971年、私は夫と共にアメリカに渡りました。
  そしてその後20年間、私たちはアメリカで新約時代を完成し、成約時代を出発する
ための蕩減路程を歩みました。その結果、私たちは神を中心とした真の愛、真の生命
、真の血統の根源となる、真の父母の家庭を樹立することができました。

 親愛なる御来賓の皆様。
  イエス様がメシヤの降臨に対して語られた内容に、新郎が来るのを待つ新婦たちに
対するたとえがあります。
  黙示録では、キリスト教を新婦として説明しています。したがって、キリスト教を
代表とするアメリカも、新婦国家であるということができます。
  したがって、アメリカは世界統一のための基台を立てて、最終的には新郎を迎える
責任を果たさなくてはなりません。
  これは、復帰されたアダムとエバとして、本来の男性と女性の位置が立てられ、真
の男女平等圏までいくことを意味します。このような復帰歴史の転換点で、真の母の
位置に立つ女性は、真の父を迎える最初の試みに失敗して以来、神の摂理は40年延長
して1992年まできました。
  この期間に私は、世界的に新しい新婦基台を願って、韓国、イギリス、アメリカ、
フランス、日本、ドイツ、イタリアを一つにするために、祈祷しながら努力してきま
した。
  そして1992年4月、私は夫と共に「世界平和女性連合」を創設し、全世界的に女性
時代の到来を宣布しました。その基盤の上で、昨年一年間、私は真の母の心情でもっ
て、先に挙げた7ヶ国はもちろんロシアとオセアニアまで訪ね、現地の女性たちを動
員して、各国に「世界平和女性連合」の支部を創設しました。
  このような業績を土台として、第2次世界大戦の時からカイン、アベル関係に分か
れていた国々が、真の母を迎え、失った新婦の基台を復帰して、真の父を迎える基盤
になりました。
  このように勝利した世界的な基盤の上で、最初の真の父母であることを宣布いたし
ます。
  今や、世界は成約時代に突入しています。私たちは今一度、神に侍って生きること
ができるようになりました。このような歴史的転換点に立った私たちは、神を中心と
して個人の心と体を統一できる原理を、世界的次元で実践しなければなりません。

成約時代は神に侍り生きる時代

  このような目的を達成するために、私たちは世界平和を実現する二つの組織を創設
しました。
  「世界平和宗教連合」は心の世界を代表し、神の愛を基にして世界の宗教を一つに
結ぶ内的使命を帯びています。一方、「世界平和連合」は体の世界を代表しており、
世界的な政界、財界、言論界、学界、科学分野の指導者たちと共に理想世界を建設す
る外的使命を帯びています。
  縦的な角度から愛を説明すれば、アダムとエバは、子女の愛、兄弟姉妹の愛、夫婦
の愛、父母の愛という四大愛を成熟させ、神と直接関係を結んで生きるようになって
います。したがって、アダムとエバは本来、真の愛を中心として、四大心情圏すなわ
ち完成した子女、完成した兄弟姉妹、完成した夫婦、そして完成した父母の心情圏を
通過して、完成した家庭を築くべきだったのです。
 アダムとエバは、家庭のモデルとならなければなりません。子女たちは父母を理想
的な手本として、侍って生きなければなりません。子女たちは、父母が互いに愛し合
って生きるのを見て、兄弟姉妹間の友愛を学ぶでしょう。
  結婚して夫婦となっても、彼らは父母の愛を見習って、理想的な夫婦の愛を学ぶで
しょう。やがて彼らも子供を生んで、父母が見せてくれた良い模範に習い、もう一つ
の完成した家庭を築くでしょう。
  父母と子女、兄弟と姉妹、そして夫と妻が縦的、横的両面から一つになった、理想
的で確固たる家庭を築くことによって、私たちは地上はもちろん、天上にまでも天国
を建設することができます。このようにして、神を中心とした同じ祖先から生まれた
全世界の家庭は、アダムとエバの家庭と同じく神聖な価値をもつようになります。

  紳士、淑女の皆様。
  成約時代の幕開けとともに、全世界的に救援歴史を完成し、またメシヤの分身とな
る氏族メシヤの時代がきました。皆様の家庭を復帰し、氏族、地域社会、国家を復帰
しなければなりません。
  このような使命をもつ人々を、氏族メシヤと呼びます。成約時代には、母親の役割
が非常に重要です。
  堕落の時とは正反対に、母と子が一つとなって、真の父母と一体となり、夫を復帰
し、祝福を受けることによって神に帰らなければなりません。
  すでに私たちは、数千人の氏族メシヤ宣教師を全世界に派遣しました。遠からず、
世界的な次元で理想家庭が築かれるでしょう。
  それぞれの完成した家庭では、祖父母は神を代表して、王と女王の位置に立ち、父
母は現在の人類を代表して、王と女王の立場に立ちます。そして子女は、未来の子孫
を代表する立場で、王子と王女の立場に立ちます。
  これらの三代が一つになる時、過去、現在、未来が共に和睦して生きるようになり
、そこから新しい歴史的伝統が出発します。
 
 紳士、淑女の皆様。
 私は今日、人類の最初の真の家庭の完成を、皆様の前で宣布することができたこと
を無上の光栄と思います。
 私と夫は、13人の子供と20人の孫と一緒に、神と人類のために絶対的な信念をもっ
て献身しています。
 三代が一つの家族として共に生きながら、私たちは家庭的次元で、聖書で述べてい
る生命の木の、中心の根(祖父母)、中心の幹(父母)、そして中心の芽(子女)を
確立しました。
 皆様も真の家庭の血統に、象徴的に接ぎ木されて、共に理想国家と理想世界建設の
ために、先頭に立ちましょう
 これが正に、成約時代の幕開を意味します。成約時代は、神に侍って生きる時代で
す。

 親愛なる御来賓の皆様。
 世界平和女性連合は、このような使命のために、召命を受けました。
  第2次世界大戦後、キリスト教文化圏を代表したイギリスの失敗を復帰するため、
再び選抜されたエバ国家日本は、その使命を果たすために、女性は子女と夫を連れて
、真の父母と一体となって神の国に帰らなければなりません。
  私たち皆、神と人類が歴史的に願っていたこの使命を完遂いたしましょう。
  すべてのキリスト教徒とすべての宗教者たち、すべての良心的な人々も、心の窓を
開いて、深い心情でこのメッセージを受け入れてくださるよう、切にお願いいたしま
す。
  私たちが皆、神のみ旨のために働き、神からの祝福を受けられる立場に立たれます
ことをお祈りいたします。神様の祝福が、皆様と皆様の家庭の上にありますようにお
祈りいたします。
  どうもありがとうございました。